パクトとは?

一枚の被膜が用途を広げる

パクト(PACT)はPack Bolt、Pack Nutの略称です。

締結部品の特性を変えずに、利用しやすいように薄膜被膜で一体化した技術のことです。

一体化することにより現場での正確性、作業性が大きく向上しています。

また複数のネジ部品を一括管理できることで仕入れの負担や在庫の手間を削減できます。

 

▼震災とパクト

1995年1月17日a.m.5時46分

あの忌まわしい地震は約5500人もの命を奪った。燃え盛る炎、倒壊した建物、あの時ニュースで目にした記憶はいつも蘇ってくる。

パクトが生れて十数年。大手住宅メーカーを始め何社かの住宅・建設業者にネジを提供しているものにとって、その後の数ヶ月は心の休まる時はなかった。テレビを始め新聞・雑誌等あらゆるマスメディアに目を通す。

破壊された建築物が心配でたまらなかった。これも違う、あれも違う。そして、何ヶ月かを経過し安堵という言葉を実感する。もう既に数年の歳月が経過するが他の地震でもパクトに対するクレームは皆無であった。

ネジ屋は残念ながらネジについてしかわからない。建物の構造がどうの、こう建てれば地震に強い建物ができるとかは専門分野ではない。もっと突っ込めばネジを何個使用すればこの構造物は大丈夫だという個数すらわからない。建築設計士が設計した建造物に対して、このネジをこう使いたいという指示のもとで、図面からネジを拾い出しネジを供給するのがネジ屋の仕事である。

ネジが折れる・頭が飛ぶという一次的な要素を満足すれば事足りるのである。たった1本何円のネジが何千万の家になり、地震が起き<崩壊>という二文字を生み出すなど、ない頭で考えてもしょうがないのかもしれない。

パクトの締結には自信はあった。住宅産業には勿論だが農機具のローター部にも、洗車機の駆動部にも住宅と同じパクトが使われている。どちらも強い振動を直接パクトに受け続けるが締結に関してここ20年余クレームは全くなかった。地震の震度と比べることはできないだろうが、締結に関しては、振動試験値のみではなく、これらの実績から自信を持っていたのは言うまでもない。

多くの犠牲者を出し、多くの人の財産を・幸せを奪った震災に安堵という言葉は不謹慎かもしれない。しかし、たった一本のネジが人々の大切なものを守り、そして逆に破壊する可能性もあることをこの震災は十分に感じさせてくれた。これからの建築技術はより耐震性に富んだ構造を開発していくだろう。そして、きっと、もっと大きな地震が起きても安心して生活ができる場を提供してくれると考える。

その中で、ネジも重要な要素の一つとなる。日々発展していく技術にパクトも研究を積み重ね、僅かながらでもお役に立ち、要望に応えたいと考えている。

 

 

パクトの呼び名

パクトは登録商標済の名称ですが、現場により違う略称で見かけることがあります。

・パクトナット

・ナイロンパック

・ラミネート加工

例えばこれらはすべて同じパクトの略称です。
同じパクトでもそれぞれが違う図面に、それぞれ違う名前で表記されています。

もしかすると身近な現場で目にしたこと、手に取ったことががあるかもしれません。
その時は「あー、これか!使いやすいよね!」と思って頂けたら嬉しく思います。

 

▼現場の目線に寄添う

●現場を常に第一に

パクトは製造当初以来、現場を常に第一に考えています。そのため常に現場の声を聴くことで製品としての進化・成長を遂げてきました。

現在では視認性の悪いトンネル工事、河川での作業、高層ビルでの高所建設、雪の中での配管工事など、特に施工が難しい場所の締結に使われています。また戸建て住宅やマンション、その他大型建築物、海外の施設、メガソーラーなど、数多くの締結が必要とされる現場作業で利用されています。

日本全国、様々な現場で愛用して頂いているため、もしかすると身近な現場で実はパクトが使われていたということもあるかもしれません。

 

●省施工で正確な締結

何よりも現場の目線に寄り添い、より使いやすく、より管理しやすくを追求することで締結作業の効率改善、それによるトータルコストの低減を実現しました。そのため現在では省施工で正確な締結ができる製品としてご評価いただいています。

これはサンプル提供の段階から実際に現場で使用して頂くことで、現場とのすれ違いを取り除くことが出来ているからです。そのため正確な仕様やサンプル作成など少しお時間を頂く場合がありますが、掛けていただいた時間は全て作業現場でお返しいたします。

 

●簡単なことをより簡単に

複数の要素を一体化しているため、在庫管理が簡単で無駄がないのも特徴の一つです。ネジは部品が細かく、実際の締結作業中に管理しにくいのは「ネジ屋だからこそ」共感できる悩みでもあります。

座金はどこまでも転がりますし、ナットは表裏を間違える。

その度に取り付けたものを外して、もう一度締めて…を繰り返すのはストレスが掛かります。また間違えないようにと毎回細かく確認し続けるのも苦労がかかります。パクトが特に多くの締結が必要になる現場でご評価頂いているのは、作業をシンプルに、正しく済ますことができるからです。

また現場の倉庫では小箱で管理していると箱が潰れたり、紛失したり、数が合わなくなることもよく耳にします。これはナット、ばね座金、平座金の入り数が違うのも原因の一つですし、1締結に必要な要因の管理数が多くなってしまうことも理由になります。

バラバラじゃなくて1つになれば管理が楽になるのに…

そんな多くの声を形にしたのがパクトです。多くの現場で愛されているのは簡単なことをより簡単を目指して歩んできた結果です。

 

現場でパクトを体感し、「楽」を実感してみてください

 

 

他のアッセンブリー商品との違い

変形ナットと嵌め込み式のばね座金の場合、ばね座金の固定にばね力を消費してしまいます。
パクトの場合は薄膜被膜による一体化のため、ばね力を最大限に活かした製品となっています。

詳しくはこちらの資料をご覧ください。

パクト他アッセンブリー商品との違い【PDF】

 

パクトはオールマイティ?

パクトの大きな特徴としては材質や表面処理を選ばないことを忘れてはいけません。
部品が少しずつ違う仕様についても対応できます。

上からクロメート、ダクロ、グリーンクロメート(オリーブ)、溶融亜鉛(ドブ)

例えば写真のように同じ形状であれば材質や表面処理に関わらず、同じようにパクト化が可能です。 また一体化する前に表面処理を行いますので、表面処理のムラなどもありません。
そのため、ナットとばね座金は別の表面処理を行うことも可能です。

上:市販ナット+ばね座金 下:S45C(H)+ばね座金

その他には材質が変わっても、形状が同じならパクトは同じように加工できます。
もちろんステンレスでもチタンでもセラミックでもなんでも来いです。

同じ加工方法をとりますので、高級なワークほどアッセンブリーにかかる費用が安くなるわけです。

 

▼パクトのキーワード

● JIS is a PACT

英語は間違っているように見えますが、パクトの安心の基本はこれです。 パクトはJIS製品そのものを一体化させることが可能です。 だからばね座金などでもJIS規格そのものの反発力。

使って安心はJIS is a PACTだからです。

もちろん、JIS以上の品質のものもパクト化可能ですので、より安心が得られます。

 

●長持ち

パクトのめっき品が錆にくいのは何故? 昔からこんな問いかけをよくかけられます。それは標準として「めっき厚8ミクロン以上を採用しているからです。だって、なかなか簡単に交換できないネジにとって長持ちは命ですから。

<木造建築用接合物認定規定 >
木造建築用接合物認定規定が平成24年4月1日付で改正されています。

電気亜鉛めっき 5μm ⇒ 8μm

パクトは発売当初(約40年前)から8μm以上を保証しています。

 

●身代わり

一般的なネジではインパクトレンチなどの工具で締結するときに締結傷が起きます。 そのため現場からは「めっきが剥がれる!」といった悲鳴もよく耳にします。 表面処理も使用前から剥がれてしまえば、何の意味もありません。

逆にパクトはお客様から「締結時の表面処理の保護ができてるね」というお話をいただきます。薄膜被膜は表面処理の身代わりになり、今日も多くの現場で将来の錆からネジを守っています。

 

●言葉

カタールの新ドーハ国際空港の建築工事にSUS316パクトNS-M8aが採用されました。その後は他サイズとともにリピート品となり、第6段の出荷を行いました。

理由は現場でパクトを使用する場合「座金の付け間違えやナットの表裏の問題が起きないから」というものでした。特に多国籍で言葉が通じにくい現場ではパクトが言葉の代わりになり、現場での正確な施工を支えました。

 

パクトの主な実績

<国内(北海道-沖縄)>

鉄製品:建築金物、基礎(木造/木質系住宅・鉄骨住宅)など

ステンレス製品:外壁の固定(アンカー式乾式工法)
        大規模太陽光発電所(メガソーラーの接地、架台) 
        海岸の補修工事など

 

<国外>

アメリカ、ロシア、中国、オーストラリア(住宅)

カタール(空港ラウンジ外壁)

 

 

商標について

パクトは株式会社池田ネジ商会の商標登録商品です。

商標登録番号:第4204156号

パクトの歴史

パクトはどんなところから生まれたのでしょうか?

かつてネジ屋さんには「ナット嵌め」という作業がネジの販売には不可欠でした。 昔は使い勝手だけではなく、ネジの検査も兼ねてナット嵌めの作業をしていました。 だんだんネジの精度もよくなり、今では使い勝手だけのためのナット嵌めへと変化していきました。

その作業を簡略化できないものか?と考えられたのが最初のパクトです。

写真:パクトNB-a型

最初は写真のようにボルトの頭にナットをつけるというものでした。使い方は現場まではボルトとナットが一体化されていて、仮締めの時にフィルムを切り取りナットを取り出し、ボルトをセットします。主に造船関係で使用されました。

開発当時は接着剤・テープなどあらゆる素材を検討しましたが、最終的に脱着が可能なフィルムを利用しました。そしてそれが大きな可能性へと繋がります。

 

科学技術長官賞

パクトは登録商標として、また特許取得品として多くの受賞歴を持ちますが、その中でも平成7年には科学技術長官賞を賜り、権威あるメダルを頂戴しました。このメダルには古代建築家ヴィトルヴィウスが想像した「人類の火の馴化」が描かれています。

株式会社池田ネジ商会 会社案内【PDF】に掲載

パクトは現代の建築とは切っても切れない関係性を持っています。多くの人が直接目にすることはありませんが、多くの人が目にする様々な建築の現場でパクトは使用されています。

直接触れるには難しい火を使いこなした人によって、科学技術は大きく発展しました。この賞により、科学の発展を陰ながら支える技術であるパクトに鮮やかなスポットライトを当てて頂きました。

 

フィルムの二次的要素

パクトのフィルムはアッセンブリー(一体化)を主の目的としています。その上に様々な特徴のあるフィルムを使用することにより、二次的な要素が生まれました。

写真は蓄光フィルムです。

このフィルムでパクト加工すれば、暗所のボルトに少しの光を与えることができます。真っ暗な中でネジが飛び出しているような場合は、より安全になるでしょう。 この他にも抗菌フィルムや摩擦力のあるフィルム、燃焼時に無害なものもパクトに登場しています。

また蓄光ではなく、フィルムの色を変化させる方法もあります。

写真はカラーフィルムによるパクトです。

現場での識別を容易にすることで、施工の安定性・安全性は大きく向上します。使い方次第でパクトは便利なネジ部品でありながら、特別なメッセージを持つことができます。

この他にもパクトのフィルムは印刷して識別することができます。

写真はフィルムへの印刷です。 ※左から木目・パクト・S45C(H)

見た目が同じものでも材質が違うものは現場では使えませんし、混入などの管理にとても気を使います。しかしパクトは見た目からの識別が可能になります。これで現場でも管理でも混乱せずに、正しい施工が約束されるでしょう。

誕生から40年、パクトにはまだまだ多くの可能性が秘められています。